(仮称)とよなか大学院 開設にむけた公開研究会<第1回>
テーマ:子どもの貧困 「場所×ひと=未来」 ~しょうないガダバから見えてきたこと~
講 師:小池繁子さん(しょうないREK)
日 時:2016年8月4日(木) 19:00~20:30
場 所:庄内公民館
地域の課題解決のための人材を育成する学びの場「(仮称)とよなか大学院」。来年度の開設にむけて始動です。
1、地域の課題を学ぶ
公開研究会の目的は大きく2つ。ひと目は、地域の課題解決のためにすでに取り組んでいらっしゃる方々からお話をうかがうことです。第1回のテーマは、「子どもの貧困」。小池繁子さん(しょうないREK)から、「『場所×ひと=未来』 ~しょうないガダバから見えてきたこと~」と題して、お話ししていただきました。
小池さんは、大阪市内の3つの保育所で10年間にわたって保育士をされてきました。保育所の環境も様々だったため、いろいろな家庭環境の中にいる子どもたちをみることができたとのこと。貧困であるが故に起こる虐待の問題など、「貧困問題」は以前から顕在化していました。
○貧困と貧乏はちがう
「貧困」とは何でしょう?
社会と繋がろうとする意識、情報に触れようとする意識、未来へ向けて勉強しようとする姿、目的を達成するためにどう行動するかを考える姿は「貧困」ではありません。
貧困とは、「貧しい」ことが原因で外と断絶してしまうこと、しんどいことを抱えている状態、頑張ってもそこから抜け出せない状態のことであると小池さんは言います。
○「しょうないガダバ」という場
「しょうないガダバ」は2015年に開設されました。雑談ができる場所、目的がなくても来ていい場所、学校に行っていなくても来られる場所です。子どもが家にいるのがつらいとき、一人になりたいときにパッと行ける場所、いろんな人の居場所となれることを目指しています。
色々な使い方をしたいと考えていますが、今は人手が足りていません。様々な人が来ていろんな大人に会える、多様な経験ができる場所になったらいいと思っています。
○複雑化する地域の課題
地域の課題は複雑に入り組んでいます。支援は子どもだけでなく、親に必要な場合もあります。地域で活動をする立場としては、どれだけの多くの専門性に関するチャンネルを持っているかが重要です。その上で、それらの専門性をつなげていくことが必要だと感じています。
子どもが自立して生活していける力をつけるためには、情報を手に入れてスキルを身につけること、自分で考えて行動できるようにすること、さまざまな経験を積むといったことなどが求められています。これらのことを大人がいかにサポートしていくかが問われています。
同時に親に対する支援が必要です。子どもの成長と共に、親へのアプローチは「子育て支援」から「就労支援」に変化していきます。親をどうフォローするのか、または、これから親になる子どもたちをどう支援していくかは大きな課題です。
○場所があるからいろんな人が来る
「しょうないガダバ」という場があることで、色んな科学反応が起きています。小さいけれど一人一人が努力しながら、そんな居場所を作っていきたいと思っています。
小池さんのお話を受けて、参加者からは、
「市民活動をしている人ほど、貧困を知らなかったりする。きちんと向き合う人が増えてほしい」
「さまざまな属性の人が集まる場所が地域の問題を解決するのではないか」
「場所がある、人が集まる、何かが生まれるというところがいいと思った」
「子どもの居場所は行政がつくるものかもしれない。しかし行政がつくると目的や成果が必要になる。ガダバは全く違う基準でつくっていると感じた」などの感想が寄せられました。
2、「(仮称)とよなか大学院」カリキュラムについて
公開研究会の目的のふたつ目は、「(仮称)とよなか大学院」のカリキュラムや、今年度に実施する予定のプレ事業などについて、広くご意見をうかがうこと。第1~3回の公開研究会では、来年度のカリキュラムについて話し合う予定です。
第1回目の公開研究会では、次のような意見が寄せられました。
「事業を行う上で評価や目的は必要だが、現状のものは固定化されている。既存とは違う物差しを共有化できるような人材が必要なのではないか」
「資金が切れても継続して活動していける場や人材が必要だ」
「かつてあった地域コミュニティを受け継いでいけるような場がほしい」
「120点は無理でも、60~80点がとれる活動をつくっていける人材が必要なのではないか」
「人によって欲しいと思うスキルは色々あるので、必要なものを選べるようにしてはどうか」
「地域の歴史を学んだり、いいところを探すような回があってもいいのではないか」 などなど。
お寄せいただいたご意見は、来年度のカリキュラムに反映させていただきました。